千葉大学、東京医科歯科大学等と連携し、法病理学、臨床法医学、法中毒学、法歯科学、法遺伝学、法画像診断学、といった各分野において多面的な研究を行っている。各分野の主な研究テーマを紹介する。

1. 法病理学

死因診断の精度向上を目指し、解剖において剖出することが困難である椎骨動脈に対して血管内視鏡を用いて検査を行う研究を行っている。また、冠状動脈や脳底部動脈の検索において、血管造影を3D-CTを用いて行うことを試みている。実験的な研究においては、筋挫滅症候群や覚醒剤中毒事例における、血中あるいは組織中の脂質酸化に関する研究を行っている。

2. 臨床法医学

臨床法医学とは、各臨床科と連携し、何らかの侵襲を受けた可能性のある生体を診察し、侵襲の有無を判定する学問領域であるほか、死因情報の集積から得られた情報を元に、事故予防などの施策に活用することを考案する学問領域である。現在、小児科医と連携し、小児の死亡事例を集積・分析し、予防に活用する研究を行っている。その一環として、千葉大学との協力の下、千葉県子どもの死因究明等の推進に関する研究会(通称 千葉県child deat review(CDR)研究会)を立ちあげている。

3. 法中毒学

LC/MS/MS、LC/QTOF-MS等を用い、危険ドラッグなどの検出方法に関する研究を行っている。また、死後の薬物の再分布に関して、動物実験による研究を行っている。さらには、全国的な統一された精度管理方法がこれまで日本に存在しなかったことから、複数大学と連携して、統一的精度管理のシステム構築に関する研究を行っている。

4. 法歯科学

一本の歯から、薬物分析、年齢推定、DNA検査等を実施する方法に関して研究を行っている。

5. 法遺伝学

突然死事例などについて、疾患遺伝子を検索する研究を行っている。また人体寄生生物のDNA型から、出身地域の推定を行う研究を行っている。

6. 法画像診断学

CT画像データを用い、骨長や骨の形態等から、死者の身長や性別、年齢を推定可能か研究を行っている。また死後画像検査を実施し、死因を判定するにあたって、どのような利点や危険性があるかについて研究を行っている。